自社コーポレートサイトのリニューアルを検討するにあたり、
「何から始めればよいのか」「どのような準備をすればよいのか分からない」といった
お悩みを抱えるご担当者様は少なくありません。
多くの場合、Web制作会社にリニューアル業務を委託してプロジェクトを進めますが、
事前準備が不十分だと、自社に適した制作会社を選べず、結果としてプロジェクトが失敗に終わるケースも見られます。
このコラムでは、コーポレートサイトのリニューアルを担当される方に向けて、
リニューアルの進め方や、成功のために押さえておきたい要点・準備のポイントを解説します。
現在リニューアルを検討中の企業や、これから検討を始める企業の方は、ぜひご活用ください!
目次
コーポレートサイトの役割とリニューアルの重要性
コーポレートサイトは、自社や製品・サービスの理解を促すだけでなく、 社会的な信頼の醸成、採用力の強化、IR・サステナビリティ情報の発信など、企業活動全体を支える多面的な役割を担っています。
また、顧客や見込客、株主・投資家、求職者、協業パートナー、自社社員など、企業を取り巻く多様なステークホルダーが、それぞれの目的で情報を求めて訪れる重要な接点でもあります。

こうしたユーザーに対し、必要な情報をわかりやすく提供することは、企業価値の向上や売上拡大にも直結するため、 コーポレートサイトを経営戦略の一部として位置づけ、計画的にリニューアルなどの投資を行うことが一般的です。
一方で、企業を取り巻く外部環境や情報発信の手段は日々変化しています。
生成AIの登場やSNSの浸透などにより、ユーザーが企業情報に触れる経路やプロセスも変わりつつあります。
これらの変化に対応し、企業の情報を正しく伝えるために、コーポレートサイトのリニューアルは改めて重要性を増しているのです。
技術の進化や社会の潮流を踏まえたコーポレートサイトは、ユーザーの信用獲得だけではなく、企業ブランディングや売上向上への貢献が期待できる
コーポレートサイトの役割と重要性については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連コラム:コーポレートサイトとは?目的や役割、基本コンテンツを紹介

コーポレートサイトリニューアルの背景
企業を取り巻く環境変化と課題
近年は、以下のような外部環境の変化を背景に、見直しを進める企業が増えています。
- 生成AIの普及による「検索体験」の変化
- 訪日外国人の増加など、海外市場からの情報ニーズの高まり
- ウェブアクセシビリティ義務化の流れ
- サステナビリティへの社会的関心の高まり
こうした変化を踏まえ、多くの企業がリニューアルを機に
「マーケティング機能の強化」や「グローバル・ガバナンス基盤の整備」といった戦略的なテーマを掲げ、
企業成長を後押しするデジタル基盤として再構築する動きを広げています。
コーポレートサイトのリニューアルの目的
リニューアルにより企業が目指す方向性
コーポレートサイトのリニューアルには、企業ごとにさまざまな目的があります。
ここでは、私たちが実際にご相談をいただく案件での経験をもとに、近年特に多く見られるリニューアルの目的を整理してご紹介します。
戦略的デザインへの刷新
近年は、単なる見た目の変更ではなく、企業の姿勢やメッセージの“伝わり方”を再設計する目的でデザイン刷新を行うケースが増えており、
「IR情報やサステナビリティ発信などの重要コンテンツをよりわかりやすく伝えたい」
「古い印象を一新し、企業としての信頼感や先進性を再構築したい」
といった戦略的な課題に対応する手段として、デザインを根本から見直す動き進んでいます。
サイト導線・情報構造の改善
デザインに次いで多いのが「導線設計」の課題です。運用を続けるなかでコンテンツが増え、 必要な情報にたどり着きにくい・離脱率が高いといった問題が生じるケースは少なくありません。
情報設計の再構築やナビゲーションの見直しも、リニューアルの大きな目的の1つとなります。
ウェブアクセシビリティ対応
今後の法制度化を見据え、公共機関や大企業を中心に、ウェブアクセシビリティガイドラインへの準拠を目的とした全面的または部分的なリニューアルが進んでいます。
IR・サステナビリティ情報の拡充
上場企業を中心に、投資家・株主への情報提供や、サステナビリティページの整備が重要視されています。
信頼性の高い情報開示や、ステークホルダーへの説明責任を果たすためにリニューアルを行うケースも増加しています。
AI検索への対応
AI検索の拡大やAIO(AI Overview)の実装をきっかけに、AI時代のSEO施策が新たなテーマとして注目されています。生成AIが提示する答えに自社の情報が含まれていなければ、検討候補にすら挙がらないリスクがあるためです。
とりわけAI検索対策においては、第三者メディアの情報が情報源となるため、自社サービスに関連する外部メディアでの言及を意識したコンテンツ設計や情報構造の最適化も成果につながる要素となり、サイト全体の情報設計を根本から見直す動きも広がっています。
売上やリード獲得の強化
最終的な目的として最も多いのが「売上貢献」です。問い合わせや資料請求といったリードを増やし、 営業活動の成果につなげたいというニーズは、すべての企業に共通しています。
このように、近年の外部環境の変化を受け、多くの企業が「デザインを一新する」だけの単純なリニューアルではなく、 経営課題や事業戦略に対応する形で刷新を図るようになっています。
コーポレートサイトをリニューアルする前に、「自社はどこを目指すのか」をあらためて整理しておくことが、 目的の明確化や成果を得やすくする第一歩となります。
Web担当者のよくある悩みと失敗例
ここからは、コーポレートサイトのリニューアルを進める際に、担当者が直面しやすい課題や失敗パターンを整理してご紹介します。
① 全体像を把握しないまま進めてしまう
コーポレートサイトのリニューアルには多くの工程が含まれます。
全体的な流れをイメージできていないまま、部分的な情報収集をしてしまうと、次のような問題が起こりがちです。
- 各制作会社に抽象的な要望しか伝えられず、的確な御見積や提案がもらえない。
- 結果として、期待するコーポレートサイトを構築できる自社に合った制作会社を選定できない。
②リニューアル担当者にかかる負担が多い
意外と多いのが、社内関係者の意見や要望の調整に時間がかかり、担当者の負担が大きくなってしまうケースです。
当社では、複数部門にまたがる社内調整や進行管理も含めて万全にサポートしていますが、
クライアント側での調整を前提とする制作会社も多く、事前に体制や役割分担を確認しておくことが重要です。
リニューアルを成功させるためには、全体の流れを理解し、情報を整理したうえで、
担当者の負担を軽減してくれる信頼できる制作会社に依頼することも重要です。
Web制作会社の選び方については、 こちらの記事で詳しく解説しています。
関連コラム:Web制作会社の選び方。デザインや費用だけで選ぶと失敗する?
制作会社を決定するまでの 手順・進め方
リニューアルにおける中間ゴールは「制作会社の選定」です。
制作会社の選定までの流れを中心に、リニューアルの大まかな流れを解説します。

①社内で情報整理
まずはWebサイトに関する社内情報の洗い出しと整理から始めましょう。
整理すべき項目については、次の章で詳細に解説します。
②制作会社の比較検討
制作会社にも得意不得意が存在します。
各社のサービス資料などをダウンロードし、自社の要望に応えてくれそうだと期待できる制作会社をピックアップしましょう。
③制作会社との打ち合わせ
①で整理した情報をベースに、制作会社に具体的な要望を伝えましょう。
④コンペの開催&制作会社の選定
各制作会社からの提案を受け、委託先を決定しましょう。
コンペについては以下の記事で詳しく解説しております。
関連コラム:Web制作会社選定にコンペは有効?失敗しない進め方と準備の手引
⑤サイト制作開始
以上がサイト制作開始までの大まかな進め方です。
また、制作開始後のサイトの制作進行については、 こちらの記事で詳細に解説しております。
関連コラム:Webディレクションの進め方とディレクターの仕事の流れを解説
担当者として整理すべき情報
リニューアルを進める中で、認識のズレが起こりやすいのは社外である「制作会社との打ち合わせ」です。
制作会社と共通認識を持つためにも、伝える情報を入念に準備しましょう。

①リニューアルで実現したいコト
「○○なサイトにしたい」と、端的に要望を伝えられるように整理しましょう。
リニューアルの経緯と併せて伝えることができればベストです。
(例:古くなったデザインを新しくしたい、問い合わせを増やしたい、更新業務を改善したい など)
②現状サイトに対し課題に感じているコト
実際の自社サイトを見て改善したいと感じることや、サイトの運用面で困っていることを洗い出しておきましょう。
(例:発信したい情報が発信できていない、自社サービス・製品の魅力が伝わりづらい、更新業務の負荷が高い など)
③予算感
ざっくりとした金額感を持っているだけでも、制作会社とのコミュニケーションが格段にスムーズになります。
(例:〇〇〇万円~〇〇〇万円程度、△△△万円以上は予算の捻出が難しそう など)
また、見当がつかず判断が難しい場合は制作会社の概算見積を参考にするのも一つの手です。
④リリース時期
明確な期限やリリース希望時期がある場合は、理由も併せて伝えられるようにしておきましょう。
(来期で創業〇〇周年のため、来期首の〇月1日のリリースを検討している など)
⑤関係部署
コーポレートサイトの管理や運用に関わっている部署と、各部署の意見をとりまとめましょう。
【例】
広報部 :新しく策定したコーポレートメッセージを訴求したい
営業部 :営業で活用できるようなサービスページを構築したい
情報システム部:導入システムのセキュリティレベルをアップデートしたいなど
※企業によって、関係する部署や抱えている課題はさまざまです。
上記は一例ですが、こうした情報を整理しておくことで、プロジェクトを円滑に進められます。
また、本業に忙しく情報整理になかなか時間をかけられないという場合は、
「RFP(提案依頼書)」の作成を委託するのも一つの手です。
関連コラム:必要性の高まるWebサイトのRFP 【RFPサンプル配布中!】
関連サービス:RFP作成支援
リニューアルにかかる「コスト」と「期間」の相場
検討を進める上で重要な「コスト」と「期間」については、
要件(どのようなコーポレートサイトにしたいか)によって大きく変動します。
整理した情報を活用しながら複数のWeb制作会社の意見を伺い、 最終的な予算やリリース日を決定することを推奨します。
あくまで参考値ですが、リニューアルにかかるコストと期間はこちらの通りです。
・100万~500万のリニューアル(期間:~約半年)
現状のサイト構造やコンテンツを活かした、小規模サイトの全体リニューアル。
要件によってはシステム改修も含めることもできます。
※一部ページのデザインのみ改修するなどの場合は費用を抑えられるケースもございます。
・500万~1,000万のリニューアル(期間:約半年~約1年)
システム改修を伴う、中規模サイトの全体リニューアル。
新規コンテンツやコンテンツ統廃合などによるサイト構造の見直しまで可能です。
・1000万以上のリニューアル(期間:約1年以上~)
大規模サイトの全体リニューアル。
システム改修やSEO対策など、多岐に渡る要件であってもフルオーダーメイドでの実現が可能です。
コーポレートサイトはリニューアルしてからが本番
意外な落とし穴ですが、リニューアルはあくまで通過点であり、ゴールではありません。
- ニュースリリースなどを活用したリニューアルの周知
- 定期的な数値計測および課題改善
- 導入システムの運用保守
など、リニューアルしたサイトを継続的にメンテナンスしながら活用していく必要があります。
こうしたサイト運用まで手厚くするサポートできる制作会社を選定することが望ましいでしょう。
弊社マイクロウェーブクリエイティブでは、 RFP作成や要件定義などリニューアルの初期段階のサポートから、 成果の出るサイトの企画提案・構築、効果的な運用まで総合的なご支援が可能です。
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この記事の著者

マイクロウェーブクリエイティブ プロデュースグループ
クライアントのビジネス課題を解決するための提案経験を活かし、サイト制作に関する多岐にわたる情報を提供します。




