2018年11月、アルファサード株式会社より、全く新しいコンセプトで開発されたCMS「PowerCMS X」がリリースされました。
これは、従来の「PowerCMS」のバージョンアップ版ではなく、ゼロベースで再設計された新しいCMSです。
では、「PowerCMS X」はどのような特徴を持ち、従来の「PowerCMS」と何が違うのでしょうか?
本記事では、「PowerCMS」と「PowerCMS X」それぞれの特徴と違いを、当社での導入実績や開発経験を踏まえた視点で詳しく解説していきます。
目次
PowerCMS/Xを知る前に押さえておきたいCMSの基本
「PowerCMS」と「PowerCMS X」の違いを理解する前に、まずはCMS(コンテンツマネジメントシステム)の基本について簡単にご説明します。
CMSとは、HTMLやデザイン制作の知識がなくても、管理画面からテキストの入力や画像のアップロードを行うだけで、ウェブサイトを簡単に作成・更新できるシステムです。
サイトの構築時にCMSを導入しておくことで、公開後も担当者が管理画面を通じて自らページの編集や更新を行えるようになります。
CMSの基本については以下のコラムでより詳しくご説明しています。ぜひ合わせてご覧ください。
関連コラム:CMSとは?基礎知識や活用事例をわかりやすく紹介【最新動向】
CMSにはさまざまな種類がありますが、ここでは「PowerCMS」、最新の「PowerCMS X」に加え、「PowerCMS」のベースとなった、国内シェアの高い「Movable Type」をご紹介していきます。
Movable Type について
「Movable Type」は、シックス・アパート株式会社が開発したCMSで、有償CMSとしては国内シェアNo.1を誇ります。PowerCMSは、このMovable Typeをベースに開発されたCMSです。
特徴
- 基本機能が充実
ページの作成・編集・公開といったCMSの基本機能を備えており、オウンドメディアから企業サイトまで、幅広い運用に対応可能です。 - プラグインによる高い拡張性
「Movable Type」には、基本機能を補完・強化するプラグイン(追加機能)が豊富に用意されています。多くはサードパーティ(外部開発会社)によって提供されており、サイトの要件に応じた柔軟なカスタマイズが可能です。 - 小規模な運用体制に最適
ニュースやお知らせなど、更新箇所が限られているサイトに向いており、運用部門が1〜2部署程度のコーポレートサイトに特に適しています。
関連コラム:Movable Type (ムーバブルタイプ)とは?特徴や機能、導入メリット

PowerCMSとは
PowerCMSは、「Movable Type」をベースに、アルファサード株式会社が開発した国産CMSです。
Movable Typeの機能をさらに強化・充実させ、より高度な運用に対応可能なCMSとして提供されています。
特徴
- 柔軟でスムーズなコンテンツ管理
管理画面の操作性が高く、効率的なページ更新・コンテンツ管理が可能です。大量のページや複雑なコンテンツでも効率的な更新・管理ができます。 - 豊富な導入実績
大手企業や学校法人など、国内で3,000サイト以上の導入実績を誇ります。特に、セキュリティや安定性が求められるエンタープライズ領域での採用が多いのが特徴です。 - 大規模・多部門での運用にも対応
多部門でのコンテンツ作成・承認フローが必要なコーポレートサイトや、大規模サイトの運用にも適しています。 - 独立型CMSとして提供
もともとは「Power CMS for MT」としてMovable Typeのプラグインとして提供されていましたが、現在は独立したCMSとして展開されており、Movable Typeのライセンスは不要です。 - 継続的なバージョンアップ
アップデートが継続されており、2025年現在の最新版は「PowerCMS 6」です。新機能の追加やセキュリティ強化が継続的に図られています。

PowerCMS Xとは
「PowerCMS X」は、アルファサード社が従来の「PowerCMS」とは別に、ゼロベースで新たに開発されたCMSです。
従来版のアップグレードではなく、現場の運用ニーズを踏まえたうえで、新たなコンセプトのもとに一から設計されています。
機能面でも、ユーザーの声を反映した使いやすさと、開発者視点での拡張性を両立しており、現在も継続的に進化を続けています。
特徴
- ユーザー目線で設計された実用的な機能
ユーザーの声をもとに、「かゆいところに手が届く」実用的な機能を多数搭載。段階的な承認フロー、公開日時の予約、未来日時プレビュー、管理画面からのコンテンツ一括操作など、現場で求められる細かな運用ニーズに対応しています。 - 操作感や見た目もシンプルで使いやすい
UI・UXに配慮したシンプルでわかりやすい管理画面を採用。CMSの運用に慣れていない担当者でも、直感的に操作できます。 - ユーザだけでなく、開発側のエンジニアにも配慮
コンテンツ管理者だけでなく、開発側のエンジニアにとっても扱いやすいCMSとして配慮されています。 - クラウド版の提供と継続的なアップデート
2020年よりクラウド版の提供も開始。サーバー構築の手間なくスピーディーに導入可能です。Ver.3.0以降では、AWS連携やAI翻訳、多言語対応など、最新技術に対応。
2025年現在の最新版は PowerCMS X ver.4 です。 - やさしい日本語機能
やさしい日本語(日本語に不慣れな方にも理解されやすい日本語)の作成をサポートするエディタ機能により、高齢者や外国の方にも分かり易い情報発信が可能です。
「PowerCMS」と「PowerCMS X」の違い
PowerCMSとPowerCMS Xは、Xが操作性・機能性・パフォーマンスなど、あらゆる面で大幅に強化されていることから、CMSとしての総合的な性能に大きな違いがあると言えます。
PowerCMS Xは、ゼロから再設計されたことにより、従来の課題を解消し、より高度なサイト運用を実現できるようになりました。
具体的な進化のポイントをいくつかご紹介します。
PowerCMS Xでの進化
高速な動作パフォーマンス
従来の「Movable Type」や「PowerCMS」では、管理画面の操作レスポンスやページ再構築の遅さが課題でした。
「PowerCMS X」では、これらが大幅に改善されており、再構築速度は従来比で約2〜4倍に向上。100〜1000ページ以上の大規模サイトでも、従来は1分以上かかっていた再構築処理が、最短数秒〜20秒程度で完了します。これは、PHP5やPerlベースの開発からPHP7での開発に移行したことによる、技術的進化によるものです。
画像差し替えの公開予約機能
トップページなどの画像も、日時指定での差し替えが可能になったことで、新製品の発売タイミングに合わせた公開や、リアルタイムでの情報開示が求められる企業にとって有効です。未来日時での全体プレビュー機能も搭載されており、事前確認・承認フローにも対応します。
アクセシビリティチェック機能
JIS X 8341-3:2016(A・AA・AAA)に準拠した自動チェック機能を標準搭載。
アクセシビリティ対応にかかる手間を削減し、品質の維持・向上が可能です。
多言語翻訳機能
「多言語翻訳プラグイン」を利用することで、構築したウェブサイトを70以上の言語に翻訳できます。
高機能な検索対応
不動産サイトのような複数条件による絞り込み検索も簡単に構築可能。データベース連携や絞り込みロジックの実装も柔軟に対応できます。
強固なセキュリティ対策
管理画面から簡単に設定できる、強固なセキュリティ機能を標準で搭載しています。
- IPアドレス制限(管理者専用/全ユーザー対象)
- ロックアウト機能(不正ログインの試行制限)
フォーム作成機能
フォーム作成機能が標準搭載されたことにより、プログラミング不要で見積もり依頼、採用応募、お問い合わせなど多様なフォームを作成できます。さらに、各フォームからの問い合わせ件数を自動集計・可視化するレポート機能も備えています。
開発のしやすさ
従来の「Movable Type」や「PowerCMS」の開発経験があれば、「PowerCMS X」への移行・導入もスムーズに行えます。運用フロー等に共通点が多く、既存のノウハウを活かした効率的な開発が可能です。
「PowerCMS」と「PowerCMS X」のプランと価格
次に、「PowerCMS」と「PowerCMS X」のプラン(ライセンス種別)と初期費用についてご説明します。
PowerCMS のライセンス費用
PowerCMSは、Webサイトの規模や運用体制に応じて、以下の4つのライセンスプランが用意されています。
- スタンダード
- プロフェッショナル
- エンタープライズ
- アドバンスト

プランにより、対応可能なサイト構成や搭載機能、利用できるサポート内容が異なります。
PowerCMS価格表
PowerCMS X のライセンス費用
PowerCMS X(インストール版)は、利用規模や要件に応じて、以下の3つのライセンスプランが用意されています。
- Single
- Multi
- Unlimited

こちらも、各プランで利用できるサポート内容などが異なります。
他のCMSから「PowerCMS X」への移行について
PowerCMS Xは標準で下記CMSからエクスポートしたデータを取り込む機能があります。
- PowerCMS
- MovableType
- Wordpress
これらのCMSを利用している場合、データをスムーズに移行することが可能です。また、PowerCMSのライセンスがある場合は、PowerCMS Xの初期費用が割引される制度も用意されており、移行のハードルを大きく下げることができます。
PowerCMS Xに最適なサイト種類
プレビューや資材管理、パフォーマンスに優れているため、公開前の確認が必須条件のサイトに適しているといえます。
- セキュリティ重視や段階認証が多い公共機関サイト
- 新商品発表前のサイト全体プレビューが多いメーカーや小売企業サイト
- 不動産物件検索サイトなどの検索機能で複数条件かけあわせて検索されるサイト
PowerCMS,Xの導入・構築の注意点
アルファサード社では、「PowerCMS X」とともに、従来の「PowerCMS」も並行して提供しています。導入にあたっては、機能要件と導入・維持費用のバランスを見極め、自社サイトの運用に本当に必要な機能を明確にすることが重要です。
制作会社を選ぶ際は、PowerCMS/PowerCMS Xの導入・開発実績を多数保有し、要件整理から構築・運用支援まで一貫して対応できる制作会社を選ぶことをおすすめします。
当社マイクロウェーブクリエイティブの構築実績
PowerCMS,X Movable Type オフィシャルパートナー
マイクロウェーブクリエイティブは、これまでに1,000社以上の企業サイトの構築実績を持ち、その大多数のプロジェクトにおいて、CMSの導入・開発も手がけてきました。
特に以下のCMSに関しては、数百社に及ぶ豊富な導入・構築実績と専門知識を有しています。
「Movable Type」「PowerCMS」を用いたサイト構築
「PowerCMS X」の導入・移行にも対応
ご要望に応じて、他のCMSとの違いやクラウド版とパッケージ版の比較も交えながら、
貴社の環境や目的に最適なCMSソリューションをご提案いたします。
CMSの選定・導入を含めたサイト構築をご検討中の企業様は、ぜひお気軽にご相談ください!

この記事の著者

マイクロウェーブクリエイティブ バックエンドグループ
CMS、Webアプリケーション、開発・プログラミングに関する情報などエンジニア目線で深く切り込んだ情報を発信します。