Webサイト・ホームページを作成するCMSはWordPressやAdobe Experience Manager Sitesなど様々な種類がありますが、本記事では、国内大手企業に数多く導入されている国産CMSのMovable Typeの特徴・機能についてご紹介します。Movable Typeの導入経験が豊富な開発グループメンバーが詳しく解説しますので、導入を検討されている皆様は、ぜひ参考にしていただければと思います。
Movable Typeの特徴
Movable Typeは、商用パッケージ型CMSの国内導入シェアが8年連続で1位となっており、数多くの上場企業のコーポレートサイトに導入されています。
Movable Typeには以下のような特徴があります。
静的CMSである
静的CMSは、事前に生成したHTMLページを表示するため、動的CMSと比べて速いといったメリットがあります。また、サイトへのアクセスが増加した場合にも、動的CMSと異なりアクセスされるたびにデータベースを参照する必要がないため、ページ表示速度の低下が起こりづらくアクセス負荷に強いといったメリットもあります。
※動的CMSとは?:ユーザがページにアクセスしたタイミングでページが生成される仕組みのCMSを指します。
パッケージ版、クラウド版がある
Movable Typeにはパッケージ版とクラウド版の2種類のプランが用意されており、それぞれ異なる特徴を持ちます。
パッケージ版
サーバにMovable Typeをインストールするプランです。
パッケージ版では、自社でサーバ環境の設定・管理したい場合や、Movable Type以外のプラグラムを同一サーバ内で動かしたい場合に利用されることを想定しています。
クラウド版
クラウド環境にインストールされ最新版を利用するプランです。
クラウド版では、シックスアパート社によるアップデートが実施されるため、常に安全な環境を利用することができます。さらに、標準的な構成で使用されるインストール版と比べて、管理画面の表示速度は3倍向上しています。
コストパフォーマンスが良い
Movable Typeのライセンス料は、パッケージ版で99,000円(税込)クラウド版で月額5,500円(税込)〜設定されており、他有料CMSと比較して低コストで利用できるCMSとなっています。
公式のサポートが受けられる
Movable Type購入から1年間のテクニカルサポートが含まれています。操作方法や不具合が見つかった場合にシックス・アパート社に問い合わせることで、迅速な対応を受けることができます。
こちらのサポートは1年単位で任意に延長することが可能です。
複数のサイトを管理できる
Movable Typeは1ライセンスで複数ドメインのサイトを管理することが可能です。複数ドメインのサイトを1つの管理画面で管理したい場合はMovable Typeがおすすめです。
以上がMovable Typeの特徴についてのご説明になります。
Movable Typeのセキュリティ対策について
続いてご紹介させていただくのは、CMSを選定する際に最も重要なポイントとなるセキュリティ対策です。
以下ではMovable Typeで実施されているセキュリティ対策について一部ご紹介します。
リスクの少ない構築手法
Movable Typeは、プログラミング言語を使わずに、既存のテンプレートタグだけで構築可能です。セキュリティ上のリスクやデータ破壊の懸念がなく、安心して利用できます。
認証ロックアウト機能
Movable Typeの管理画面にサインインする際に、一定回数以上ユーザ名とパスワードを間違えてログインを試みると、自動的にアカウントがロックされる「認証ロックアウト機能」が搭載されています。これにより辞書攻撃(Dictionary Attack)などによる不正ログインを防止することが可能です。
※辞書攻撃とは?:辞書攻撃とは、事前に用意した辞書や一般的な単語、パスワードリストなどを使用して、サービスやシステムに対して順番にパスワードを試行し、正しいパスワードを見つけ出そうとする不正アクセスの手法の1つです。
多要素認証
MT8から標準搭載となったTOTPによる多要素認証の設定が可能です。多要素認証を利用するにはTOTPに対応した認証コードの生成アプリケーションが必須になります。Movable Typeでは以下のアプリに対応しています。
- Google Authenticator ( iOS版 / Android版 )
- Twilio Authy ( iOS版 / Android版 )
- Microsoft Authenticator ( iOS版 / Android版 )
- 2FA Authenticator (2FAS) ( iOS版 / Android版 )
多要素認証を設定することでより管理画面へのアクセスをよりセキュアにし、運用していくことが可能です。
※TOTPとは?:TOTPとは「Time-based One-Timed Password」の略称で、一定間隔(通常は30秒から60秒)ごとに一時的なパスコードを生成する仕組みのことを指します。
細かな権限設定
CMSに登録されているユーザの権限をロール(役割)を用いて指定できます。Movable Typeにおけるロールは、ユーザーやユーザーグループに対する特定の権限やアクセスレベルを定義するための機能です。代表的なロール (ライターや編集者等)がデフォルトで用意されているため、容易にユーザ権限を設定することが可能となっております。ロールを設定することで、ユーザが不必要な機能やコンテンツにアクセスできないようにすることができ、セキュリティを強化することができます。
以上がMovable Typeで実施されているセキュリティ対策のご紹介になります。
MovableTypeの機能
最後にご紹介させていただくのが、サイトを作成・運用するためにMovable Typeに搭載されている色々な機能について一部ご紹介させていただきます。
コンテンツタイプ
コンテンツタイプは、Movable Typeで運用されるコンテンツの一種です。 コンテンツタイプで登録されたデータはコンテンツデータと呼ばれ、記事のように蓄積されるコンテンツ、またはウェブページのように個別で管理したいコンテンツの両方にも利用できるコンテンツになります。
以下はMovable Typeのコンテンツの作成する方法についてご紹介させていただきます
様々なコンテンツ作成方法
Movable Typeでは様々な方法でコンテンツすることが可能です。ここではいくつかのコンテンツ作成手段を紹介させていただきます。
ブロックエディタ
ブロックエディタはMovable Type8から標準搭載となった、コンテンツを編集するエディタ機能であり、テキストや画像などを直感的に配置できるように設計されたエディタになります。
以下、ブロックエディタの特徴になります。
1. ブロックについて
ブロックエディタでは、コンテンツをブロックと呼ばれる独立したパーツに分割して編集します。各ブロックには異なる種類のコンテンツが含まれることがあります。例えば、テキストブロック、画像ブロック、動画ブロックなどがさまざまなブロックが用意されています。
2. リアルタイムプレビュー
CSSファイルを設定することで、ブロックエディタに対してCSSによる装飾を行うことができます。こちらの設定を行うことで、リアルタイムに公開画面の装飾が施されたコンテンツを作成することが可能になります。
3. 自由なレイアウト
ブロックエディタを使用すると、各ブロックをドラッグアンドドロップで簡単に移動したり、レイアウトを調整したりすることができます。これにより、同じコンテンツ種別の中でも柔軟なレイアウトを実現することができます。
4. 再利用可能なブロック
Movable Typeのブロックエディタでは、作成したブロックを保存して再利用することができます。こちら機能を利用することで、同じようなレイアウトやコンテンツを複数のページに適用することが可能になり、実装面でもコストを削減することが可能になります。
リッチテキストエディタ
Movable TypeではWYSIWYG(What You See Is What You Get)エディタを採用しています。WYSIWYGはユーザーが作成中のコンテンツを編集画面上で直接操作し、その結果が最終的な表示と同じようになるように設計されたエディタのことを指します。WYSIWYGエディタの代表的な例としてはMicrosoft WordやGoogle Docsなどがあります。
以下、WYSIWYGエディタの特徴になります。
テキストフォーマットの編集
リッチテキストエディタでは、入力されたテキストのフォーマットを選択できます。一般的なフォントスタイル(太字、斜体、下線等)や、段落のスタイル(見出し、引用、箇条書き等)を適用することができます。
画像の挿入と編集
エディタ上に画像を挿入することができます。画像のアップロード、サイズ変更、位置調整などの基本的な編集も可能です。
リンクの挿入
入力した文章や挿入した画像にリンクを挿入する機能も備えています。URLを直接入力するか、既存のページや投稿をリンクさせることができます。
HTML編集モード
一部のレイアウトを独自なものにしたい場合などは、HTML編集モードに切り替えることで実現可能です。これにより、より高度なカスタマイズやコーディングが可能になります。
以上がMovable Typeのコンテンツ作成手法についてのご紹介になります。
これらの機能を利用することで高度なプログラミング知識を持っていない方でもMovable Typeで容易にコンテンツを作成することができます!
予約投稿機能
作成したコンテンツを指定した時間に公開する機能が搭載されています。 この機能を利用する事で、あらかじめ指定した時間にコンテンツが自動的に公開されます。 また、公開されているコンテンツを指定の時間に非公開に予約非公開機能も搭載されています。
プレビュー機能
プレビュー機能はウェブサイトの記事やページを編集する際に、実際のサイト上で表示されるコンテンツの見た目を確認するための機能です。また最新版のMT8では一般的なプレビューに加えて、コンテンツの公開前に他の人に確認してもらえるプレビューページを生成する「共有プレビュー」機能が実装されています。
承認ワークフロー
記事投稿者が記事を作成後、管理者に公開申請をし、管理者が記事を確認し公開可否の 判断を行う事ができる機能になります。 承認ワークフロー機能を利用するにはプラグインの導入が必須になりますが、Movable Type本体と承認ワークフロープラグインがセットになった「CheckRelease for Movable Type」」といったお得なプランもございます。
ログ
MovableTypeでは、CMSの操作やエラー情報などはデータベース内に記録されます。(Movable Type クラウド版では「logs」ディレクトリにファイルとして記録されます) ログを利用する事で、サイト管理者がMovable Typeやサイトの動作を追跡し、トラブルシューティングや監視を行うことができます。 ログは管理画面上で確認する事が可能で、ファイルとして保存することも可能です。
バックアップ
Movable Typeでは、記事・ウェブページ・テンプレート・アイテムなどをまとめてバックアップとして保存する事が可能です。 バックアップファイルについては分割してダウンロードすることも可能で、バックアップファイルの容量が大きい場合も安心してバックアップを取る事が可能です。
以上がMovable Typeの機能の一部についてのご紹介になります。
Movable Typeを導入するメリット
このような企業におすすめです
小規模から中規模、そして大規模なウェブサイトにも対応可能なCMSとして、Movable Typeはおすすめです。 その理由として、まずコスト面で優れていること。 Movable Typeは、他のCMSと比較してコストが抑えられており、小規模から中規模のウェブサイトにとってコスト的負担が少ない点がメリットになります。 また、大規模なウェブサイトにおいてもMovable Typeは十分なパフォーマンスを発揮することが可能で、大量のページを扱うことが可能です。 さらに、国産CMSであるため、信頼性が高く、セキュリティ面でも迅速な脆弱性対応や公式サポートが用意されているため、安心して利用できます。
そのため、規模にかかわらず、Movable Typeは幅広いウェブサイトの運用に適しています。
当社では、CMSの導入前に、ビジネスの特性やサイトの環境、要件への適合など、細かな調査を行い、選定から導入・運用まで寄り添ってサポートいたします。
Movable Typeの導入や開発のご相談、その他CMSのお困りごとやリニューアルのご相談など、ぜひお気軽にお問合せください!
この記事の著者
マイクロウェーブクリエイティブ バックエンドグループ
CMS、Webアプリケーション、開発・プログラミングに関する情報などエンジニア目線で深く切り込んだ情報を発信します。