ホールディングス体制への移行は、まず大手企業が先行して取り入れてきましたが、その流れは中堅・中小企業にも波及し、単なる「ブーム」ではなく標準的な戦略的選択肢となりました。
それに伴い、従来の事業会社サイトだけでは補いきれない情報発信やブランディングの必要性が高まり、ホールディングスサイトの制作・運用も重要性を増しています。
本コラムではグループ経営をされている企業・これからホールディングス体制への移行を検討されている企業のご担当者様に向け、ホールディングスサイトの役割や事業会社サイトとの違い、制作時のポイントまで丁寧に解説します。ぜひ、お役立てください。
ホールディングスサイトとは?
ホールディングスサイト(グループサイト)は、複数の事業会社を束ね、グループ全体の方針や理念を示す“羅針盤”のような存在です。 多様な事業活動や組織のビジョンを発信するため、持株会社が運営する統合的な情報拠点であり、ステークホルダーとの信頼関係を築くための起点となるプラットフォームでもあります。
ホールディングスサイトに求められる役割
ホールディングスサイトの役割は、企業グループ全体の価値や理念を包括的に伝えることです。
そのため、単なる企業情報の掲載にとどまらず、グループの“顔”として機能するサイトとなるよう、
以下のようなポイントを意識すると良いでしょう。
グループ全体のブランドイメージと信頼性の構築
サイトのデザインは、その企業への印象を大きく左右します。グループの理念や強み・目指す姿が直感的に伝わるデザインに仕上げることが理想的です。
多様なステークホルダーへの的確かつ分かりやすい情報提供
特に上場企業においては、投資家・株主に向けたタイムリーかつ正確な情報発信が非常に重要です。
また、信頼感を醸成するためには、企業姿勢や成長性を伝えるコンテンツ運用、またその見せ方や更新頻度にも配慮が求められます。
グループシナジーの訴求
各事業会社がどのように連携し、グループとしてどのような価値を創出しているかを示すことは、ホールディングスサイトにおける重要な役割です。 また、各事業会社サイトへの導線を適切に配置し、ユーザーが目的の情報にスムーズにアクセスできるよう配慮したサイト設計も不可欠です。
ホールティングスサイトと事業会社サイトの違い
ホールディングスサイトと事業会社サイトの違いは、主に「目的」と「ターゲット」にあります。
ホールディングスサイトは、グループ全体の戦略や取り組み、社会的な価値を、株主・投資家をはじめとした幅広いステークホルダーに伝えることを目的としています。
一方、事業会社サイトは、顧客や見込み顧客に向けて製品・サービスの強みや魅力を訴求し、顧客獲得や販促につなげることを主な目的としています。
ブランドイメージや信頼性が重要である点は両サイトに共通しますが、情報の内容や表現手法には明確な違いがあります。それぞれの特性に応じて、以下のようなコンテンツや工夫が有効です。
ホールディングスサイトに求められるコンテンツ例
グループビジョン・トップメッセージ
ステークホルダーに向けて、経営層の考え方やグループ全体の方向性を明確に伝えることで、経営方針への理解と企業への信頼を高めることができます。
サステナビリティ・ガバナンス情報
企業の姿勢や信頼性を示すための重要なコンテンツです。ESGや社会貢献への取り組みは、特に上場企業において重視されており、積極的な情報開示が求められます。
事業会社サイトに求められるコンテンツ例
イントロダクション的コンテンツ
「よくわかる●●」「こんなところに●●」など、親しみやすく平易な導入コンテンツを設けることで、ユーザーの関心を引きやすくなります。
導入事例・お客様の声などの具体的なコンテンツ
製品やサービスが実際にどのように使われ、どのような効果を生んでいるかを紹介することで、信頼性の向上につながります。
ホールディングスサイト制作時に注意すべきこと
ホールディングスサイトは、複数の事業会社を束ねるという特性があるため、コンテンツの整理やトンマナの統一、グループ全体のガイドラインの反映など、制作にあたってさまざまな配慮が必要です。
その中でも重要な注意点に絞って、以下でご紹介します。
特に注意したい3つのポイント
①事業会社サイトとの役割分担を明確にする
情報の重複や更新時の抜け漏れを防ぐために、どの情報をホールディングスサイトに集約し、どの情報を事業会社サイトで発信するかを事前に関係者間ですり合わせておく必要があります。
②グループ全体のデザイン・ガイドラインを整備する
グループで統一を目指すのか、各社に任せるのか、表現のばらつきの許容度はデザイン策定時に重要です。上記と同じく、関係者同士で合意形成しておきたい要素です。
③グループ全体のシステム構成・運用方針を検討する
1社単独の都合だけで進めてしまうと、不要なコストが発生したり、管理・更新が煩雑になる恐れがあります。事業会社間の連携も踏まえ、システム面については制作初期から相談・整理しておくことが大切です。
このように、グループ全体を統括するサイトとしての役割をふまえ、
事業会社サイトとのすみ分けや、ガイドライン・方針の整理に留意することが重要です。
ホールディングスサイト制作に向いている制作会社とは?
では、実際にホールディングスサイトを制作するにあたって、どのような制作会社に依頼するのがよいのでしょうか。
ホールディングスサイトは、通常の企業サイトとは求められる視点が異なり、デザインや構成にも独自の工夫が必要です。そのため、どの制作会社に依頼するかは、サイトの成果を大きく左右する重要な判断となります。
なかでも重視したいのが、ホールティングスサイト・IRサイト・サステナビリティサイトの制作実績が豊富であることです。
ホールディングスサイトの実績だけに絞って探すと、該当する会社が限られ、候補を見つけにくい場合もあります。
その点、IRサイトやサステナビリティサイトの制作経験が豊富な会社であれば、ホールディングスサイトに求められる視点や知見を十分に備えていると考えられます。
こうした関連実績にも視野を広げることで、より自社に適したパートナーと出会える可能性が高まります。
加えて、以下のような観点も、制作会社を選定するうえで重要です。
✓ 企業サイトのデザインに強いか
ホールディングスサイトにはグループの顔として、社会的信頼性のあるデザインが求められます。 購買欲を駆り立てる必要のあるECサイトや、特定サービスのLPページ等とは系統が異なるため、各制作会社の企業サイトの実績やデザインをできるだけ多く見ておきましょう。
✓ セキュリティ対策とシステム構築能力が高いか
強固なセキュリティシステムを構築できる技術はもちろん、 ステークホルダーに適切なタイミングで情報を届けるために、CMSやIRツールの導入支援実績や将来的な拡張性も考慮したシステム設計ができるかが重要です。
✓ グループ全体を理解した戦略立案、伴走ができるか
自社サイトの目指す姿を言語化するのは、なかなか難しいことです。 そこで現状の課題等をヒアリングしつつ、良きパートナーとして伴走してくれる制作会社を選定しましょう。 自分達の意図を制作会社に伝え、正しく反映してもらうまでのコミュニケーションコストは決して軽視できません。 早く・安く制作してくれる制作会社はたくさんありますが、コミュニケーションのズレによるコストと制作費は基本的に反比例します。
当社の制作実績
当社が手がけたサイト制作実績の中から、日本ピグメントホールディングス様の事例をご紹介します。
限られたスケジュールの中で、ホールディングスサイトに求められる要素を盛り込み、将来的な拡張にも対応できるよう、デザインやサーバ構成も考慮したご提案を行いました。

おわりに
ホールディングスサイトは、グループ会社全体のブランディングを左右するものであり、未来への投資です。
貴社の企業価値の向上に向けたWeb戦略の実現に、ぜひ当社をご活用ください!
この記事の著者

マイクロウェーブクリエイティブ プロデュースグループ
クライアントのビジネス課題を解決するための提案経験を活かし、サイト制作に関する多岐にわたる情報を提供します。