【IR英文開示義務化】に伴うコーポレートサイトの英語化対応と進め方

2024年07月03日

東京証券取引所は、プライム市場の上場企業を対象に「決算情報と適時開示情報の英文開示」を2025年4月から義務付けることを発表しました。これを受け、IR情報の英文化の対応や、企業サイトのグローバル化に向けた取り組みが加速しています。
本コラムでは、上場企業サイトの構築を手掛けるWeb制作会社の視点から、英文開示の動向や義務化に伴うコーポレート・IRサイトの英語化や多言語、グローバル化対応の進め方やメリットなどをお伝えします。

英文開示の拡充に向けた方針とは

東京証券取引所では、全ての上場企業に向けて「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請しており、日本企業の持続的成長や企業価値向上につながる取り組みを後押ししています。

2024年2月26日に発表された「プライム市場における英文開示」は、こうした状況の中で定められた方針であり、日本の株式市場や各企業の発展において、非常に重要な役割を担っているといえます。

英文開示の適用時期と対応範囲

義務化の適用時期:2025年4月1日以後に開示するものから適用(※1)

対象企業:プライム市場における上場企業(スタンダード市場・グロース市場においても任意で英文開示を促進)

義務化の範囲:2025年4月から、優先的に義務化される英文開示の項目は、投資判断において重要となる以下の2つです。

  • 決算情報:決算短信、四半期決算短信、決算補足説明資料
  • 適時開示情報:すべての適時開示項目

留意事項として、全書類・全文について日・英文の同時開示が望ましいが、開示内容の一部・またはサマリーのみを英文開示とする事でも可とされています。
項目については、企業の対応における様々な負荷も考慮した上で、ニーズの高い書類から優先し、段階的に拡充されることが検討されています。

開示タイミング:全書類・全文において、日本語・英語による「同時開示」が義務付けられますが、急遽開示対応が必要なケースや関係各所との調整により、同時開示を行なおうとすると日本語による開示の遅延がおこる場合は、同時でなくても可とされています。

※1:体制の整備に時間を要する企業などに向けて、書面を提出することで適用期間が1年間猶予される。

海外投資家が必要とする情報

現行制度で英文開示は「日本語の開示の参考訳」として位置づけられており、開示の範囲も「日本語による開示の一部・概要のみでも可」とされています。

しかしながら、英文開示義務化の背景には、英文での情報量の少なさや、日英の情報開示におけるタイムラグ等、海外投資家から改善要望が根底にあり、開示内容や対象となる書類は検討のうえ、継続的に拡大されていく見込みです。

また、東証による「海外投資家アンケートの調査結果」から読み取るに、海外投資家から寄せられる意見には、企業の概況が把握できる『決算説明会資料』や定性的な情報も英文開示してほしい中小型株における英文開示の不足を解消してほしいなど、日本企業への注目度や投資意欲が高いために生じる不満や改善を望む声が多く含まれています。

これらの声を踏まえ、各企業においても継続的な透明性の確保や適時・適切な英文開示に対応するべく範囲の拡充など、早急な検討が望まれます。

英文開示によるメリット

上記のようなニーズに応えて速報性のある適切な情報開示を行うことは、グローバル領域での新たなビジネスチャンスを掴むきっかけに繋がり、企業にとって大きなメリットとなるではないでしょうか。
実際に、東証ウェブサイトに掲載されている"英文開示に関する取組のインタビュー"の中で、英文開示等の対策を推進した結果、海外投資家が増加し良い影響があった事を報告されている企業も多く見受けられます。

企業サイトにおける英語化対応の必要性と施策の進め方

ここからは、英文開示の義務化に伴うコーポレートサイトやIRページの英語対応の必要性や進め方について解説します。

上場企業におけるコーポレートサイト英語化の必要性

先で述べた通り、海外の投資家からは、日本企業のIR情報をスムーズに取得し投資判断がしたいという要望が高まっています。

企業サイト上で英語版のIR情報やサステナビリティへの取り組みを即座に手に入れることが出来れば投資意欲の向上につながり、反対に対応が遅れると投資意欲の減退を招いてしまいます。

そのため、企業サイト上でも英語版資料と日本語版資料を設置し、各資料を分かり易く表示し、閲覧・ダウンロード等のアクションに対応するなど、海外の投資家がIR情報を得るために使いやすい情報構造を設計することを推奨します。

上場企業サイトでの対応が望まれる多言語・グローバル化施策

また、データの英文化だけではなく、グローバル対応に向けて積極的に取り組みを進められる企業では、クリエイティブやデザインを一新することや、英語や複数言語への切り替えなど、いち早く対策を進めています。

海外投資家からの閲覧に備え上場企業サイトで検討するべき施策や取り組み内容の一例は以下です。

  • 海外投資家に向けた必要コンテンツ調査
  • その他のWeb上のIR情報やコンテンツの英語化
  • 縮小版英語サイトの構築
  • 多言語に対応するCMSの導入や運用体制の構築
  • 翻訳ツール導入
  • グローバル視点のUI/UX、デザイン・クリエイティブ設計

これらは、ただ闇雲に対応するのではなく、自社のフェーズに必要な施策であるかや、事業へのインパクトを見極めて判断する必要があります。

施策の進め方と準備

自社に必要な取り組みの検討から施策実行までの、進め方の大まかな流れや企業側の準備について、以下でご説明します。

ー進め方ー

①必要な取り組みの明確化

自社の計画や予算に沿って必要な取り組みを決めることからスタートし、コストや工数、組織目標に対するインパクトなどから優先順位を付けていきます。この際、ベンチマーク企業の対応状況なども調査しておくと良いでしょう。

②海外投資家のニーズ調査

海外投資家が日本企業に開示を求める情報の特定のほか、自社に対する期待などを調べます。

③翻訳手段の検討

翻訳ツールと人力翻訳のコストなど、手段毎に精度や導入費などのコストを洗い出し、社内で検討できるように比較表があると便利です。

④制作会社の比較

企業サイトの構築経験ならびに英語・多言語化対応、CMSなどの知識と実績を持つ制作会社を選出し、知識やノウハウ、実績や、構築体制、費用など複数の観点から比較します。

⑤プロジェクト開始~施策の実行

実績とノウハウがあり、万全な体制が整っている制作会社に依頼できれば、予算内で要件が確実に反映され、クライアント側の負担も少なくプロジェクトを完遂することができます。

ー準備ー

  • 目的の整理や定量目標の具体化
  • 社内関係部署へのヒアリング、取りまとめ
  • RFP資料(制作会社に提案をもらう際の提案依頼書の作成、または外注)
  • コンペの計画(必要な場合、コンペの開催計画) など

実際には、上記の工程を自社で実行するにはリソース部分や知見など難しい部分がありますので、グローバル対応の提案や実装経験が豊富な制作会社に提案から依頼する企業が多いかと思いますが、競合の状況やツールのコストなどは、自社でもある程度調べておくと良いでしょう。

英文開示義務化に伴う様々なご相談をお受けします

マイクロウェーブクリエイティブではコーポレートサイトやIRサイトなど、企業サイトの英語化、多言語化の整備やグローバルに適したクリエイティブ、即時開示に対応できるCMS導入・社内運用体制構築など、総合的な支援を行なっております。

上記の準備段階の全て請け負うコンサルティング支援や、ツール導入などのスポット対応から、英語化対応、グローバルに対応させるためのサイトのフルリニューアルなど、ご希望範囲で承ります。

費用例

IR情報の英文化 80万~
部分的な英語化対応 20万円~
その他、サイト全体の多言語化対応、ツール導入など、幅広い業界での実績があります。

まずは、様々な事例から貴社にあったプランを提示いたしますので、ぜひお気軽にお問合せください!

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