現在のコーポレートサイトは単なる企業情報の開示にとどまらず、ビジネスの成果に直接影響を与える重要なツールとなっています。また、サイトを訪れるステークホルダーは、顧客/投資家/求職者など多岐に渡り、
ユーザーごとに求める情報が異なるため、幅広く的確な情報発信が不可欠です。
一方で、「コーポレートサイトとは何か、どのような役割を果たすのか」今一つ概要が掴めないという方も多く、本コラムでは、初心者の方にも理解していただけるよう
・コーポレートサイトの基本的な目的や主なコンテンツ
・優れたコーポレートサイトの特徴とは何か
など、基本概念や効果的な運営のヒントをお届けします！
目次
コーポレートサイトとは？
コーポレートサイトは、企業の所在地や沿革に加え、事業内容や経営方針、社会貢献活動などの公式情報を発信し、ステークホルダーとの円滑なコミュニケーションを支える重要なWebサイトです。
正確かつ公正な情報を提供することで企業の透明性を高め、顧客・株主・求職者・取引先など、多様なステークホルダーとの信頼形成にもつながります。
また、コーポレートサイトは企業とステークホルダーを結ぶ“重要な接点”でもあります。
ユーザーはサイトを通じて企業の姿勢や活動を知り、関心が高まれば問い合わせや資料請求といった次のアクションへ進みます。企業はその反応を受け取り、必要な情報を整えながらコミュニケーションを重ねていきます。
こうしたやり取りを通じて相互理解が深まり、企業とステークホルダーの関係が自然に育まれていく中で、双方にとって望ましい関係性が次第に形づくられていきます。
コーポレートサイトの目的
コーポレートサイトは、企業の公式なプラットフォームとして、ステークホルダーに正確で信頼性の高い情報を提供し、企業の存在意義と価値を伝える場です。
具体的な目的は、
- 会社所在地や連絡先など、企業の基本情報を示すこと
- 企業としての姿勢や社会的責任を明確に伝えること
- 投資家に向けて、判断材料となる情報を提供すること
- 顧客に対して、サービスや事業価値を正しく理解してもらうこと
- 求職者に企業理解を深めてもらうこと
など多岐にわたりますが、本質的には、企業の認知・理解・信頼を長期的に高め、
企業活動を支える基盤を形成することにあります。
コーポレートサイトの役割
コーポレートサイトは、先に述べた目的を果たすために、企業に関する
“公式で信頼性の高い情報”を発信し、ブランド価値を社会へ届ける中心的な役割を担っています。
その役割は、大きく次の2つに整理できます。
①企業活動の全体像を伝える役割
まず、コーポレートサイトは企業の全体像を正確に伝える役割を果たします。
会社概要、事業内容、プレスリリース、採用情報、IR情報、問い合わせ先といった多様な公式情報を一元的に整理し公開することで、投資家・顧客・求職者・取引先などのステークホルダーが企業を正しく理解するための信頼できる情報源となります。
さらに、投資家には財務情報、顧客やパートナーには製品・サービス情報、求職者には事業内容や理念といったように、対象ごとに必要な情報を適切に提供できる点も大きなポイントです。
こうした情報発信を通じて企業への認知や理解が深まり、結果としてビジネス成果の向上にもつながっていきます
②企業の信頼形成・ブランド価値の可視化
さらに、コーポレートサイトは企業の透明性や社会的責任を示し、ブランド価値を高める役割も担います。
「この会社は何を大切にし、どのような姿勢で事業に取り組んでいるのか」といったステークホルダーの問いに対し、理念や方針、サステナビリティの取り組みを提示することで、企業の姿勢を明確に伝える場として機能します。
かつては企業情報・採用情報・サービス情報をすべてコーポレートサイトに集約する構造が一般的でしたが、近年では目的やターゲットに応じた専門サイトが独立して構築されるケースが増えています。
こうした役割分担が進む中で、コーポレートサイトはあらためて
「企業としての姿勢や信頼性を伝える母体」 としての位置づけが明確になりつつあります。
コーポレートサイトと他サイトとの違い
専門サイト（採用サイト・サービスサイト・ECサイト）は、特定のターゲットと目的に特化して設計されるのが特徴です。
採用サイトは求職者に企業文化や働く魅力を訴求し、サービスサイトやECサイトは顧客に製品・サービス情報を届け、購入や問い合わせにつながる導線を重視します。
これに対し、コーポレートサイトは多様なステークホルダーを対象とし、
企業の全体像を把握できるよう、情報を横断的に配置する点が大きく異なります。
採用・サービス・IRといった領域ごとの専門サイトが個別に存在する場合でも、それらへにつながる“入口”となり、企業全体の理解へとつなげる始点として機能するのが特徴です。
また、専門サイトが「単一の目的達成」に最適化されるのに対し、コーポレートサイトでは 企業の全体像を正しく理解してもらうためのコンテンツ構成や導線設計が重視されるという点でも違いがあります。
近年、採用やサービスなどの専門サイトを別途構築する企業が増える中で、コーポレートサイトはあらためて 企業の姿勢と信頼性を示す母体としての位置づけが明確になりつつあります。
コーポレートサイトの特徴
こうした背景を踏まえると、コーポレートサイトには専門サイトにはない、“企業の印象そのものを形成する” という独自の特徴があることがわかります。
企業としての信頼性や姿勢をどのように社会へ伝えるかが問われるため、サイト全体のデザイン、配色、トーン、文体といった要素がブランドイメージの構築に直結します。
さらに、ESG（環境・社会・ガバナンス）への取り組みやサステナビリティ情報の発信など、企業の価値観を示すコンテンツを効果的に掲載できる点も、コーポレートサイトならではの特性です。
こうした情報発信や表現方法の工夫を通じて、企業の信頼性を高め、中長期的なブランド価値の向上につなげることができます。
コーポレートサイトに必要なコンテンツ
ここからは、コーポレートサイトの基本的な構成（コンテンツ）をご説明します。
主な構成としては、以下が挙げられます。
- トップページ ・対象ユーザー：すべてのユーザー
Webサイトの最初のページです。
他のページから流入後であってもトップページに戻って情報を探す事が多いため、
ナビゲーションや検索軸などのUIを工夫することが求められます。 - 企業情報 ・ターゲット：すべてのユーザー
会社の基本情報となる「会社概要」やミッションやビジョンを現した「企業理念」のほか、
企業方を示す「代表からのメッセージ」などを掲載します。 - サービス/商品情報 ・ターゲット：顧客が中心、ほか投資家や一般ユーザーなど
自社サービス/製品を、概要や優位性を踏まえて紹介します。
サービス概要のみのライトな「弊社のサービス丸わかり」などのコンテンツや、
製品カタログの様に詳細な情報まで掲載する場合もあります。 - お知らせ ・ターゲット：すべてのユーザー
企業の実績や取り組みなどの最新情報や、 新商品、キャンペーン、イベント情報などをユーザーに届けるコンテンツです。 - 採用情報 ・ターゲット：求職者
採用に関する募集要項、エントリー方法、求める人材像、福利厚生、働く環境などを紹介します。
別サイトとして発信している企業もあります。 - お問い合わせ ・ターゲット：顧客や投資家が中心、ほか一般ユーザーなど
企業情報や製品/サービスについてなど、ユーザーと企業がコミュニケーションの機会をつくるためのコンテンツです。
電話番号・お問い合わせフォームの設定がスタンダードですが、
ビジネスによっては、チャットサポートなどの導入も検討します。 - IR情報（※上場企業の場合） ・ターゲット：投資家
自社の株主/投資家に向けて、財務情報や株価、決算報告書のほか、 社会・環境への取り組みなど非財務情報を発信するコンテンツです。
また、IRニュースとして、株主総会の開催等を通知するなど、IR情報全般を発信していきます。 - 独自コンテンツ ・ターゲット：一般ユーザー、顧客、求職者が中心
広報戦略や営業戦略に基づいた、作りこんだページです。
業界での立ち位置など企業の特徴を簡単に紹介する「3分で分かる〇〇」
特に注力したい製品／技術の強みやを訴求する作りこんだランディングページ など
※各企業のブランディング戦略や、計画によって掲載すべきコンテンツが変動しますので、 あくまで、多くの企業サイトで必要とされるコンテンツの一例として留めてください。
優れたコーポレートサイトに共通するポイント
結論として、優れたコーポレートサイトに共通するのは、「ユーザー」と「企業」双方の視点から情報を設計し、適切に届けられているかどうかです。
私たちが多くの企業サイトを支援してきた経験から見ると、優れたコーポレートサイトには次のような共通点があります。
- デザインやトーンが企業像と矛盾せず、一貫したブランドイメージを保っている
- 多様なステークホルダーへの配慮が行き届いている（情報粒度・アクセシビリティなど）
- 企業が伝えたいメッセージが、各コンテンツに一貫して反映されている
- 運用を見据えたシステム・インフラ・セキュリティ設計が適切に整備されている
- 情報設計と構造が明確で、ユーザーの期待や予測を裏切らないナビゲーションになっている
上記は一例ですが、これらが揃うことで、ユーザー視点と企業視点のバランスがとれた、
信頼性の高いコーポレートサイトとして機能します。
本コラムでは、ターゲットごとに求められる情報や役割を整理しながら、コーポレートサイトのあり方について解説してきました。
企業のステークホルダーは多岐にわたり、それぞれが知りたい情報や判断材料も異なるため、情報設計には幅広い視点が求められます。
さらに、昨今はユーザーニーズの変化が早く、複雑化していることから、ユーザー視点だけを過度に優先したあまり、企業として伝えるべき価値が十分に届かない、逆に 企業側の訴求が強すぎてユーザーの満足につながらない といったケースも少なくありません。
だからこそ、自社のコーポレートサイトが「ユーザー視点」と「企業視点」のバランス を的確に保てているかを定期的に見直すことが重要です。
まずは、本コラムで紹介したポイントを満たしているかどうか、あらためて自社サイトをチェックしてみることをおすすめします！
当社のコーポレートサイト制作実績
当社は創業以来20年以上にわたり、1,000件以上の企業サイト構築を手がけきました。
ここでは、その中から一部ではありますが、直近の代表的な実績をご紹介いたします。
企業情報・製品情報・採用情報・IR情報など 本記事でご紹介した全てのコンテンツをフルリニューアルしました。
運行情報など膨大な情報を取り扱いに耐えうるインフラのもと、 沿線ユーザーの「電車に乗る」「暮らす」「おでかけ」をサポートする情報を発信するサイトを構築しました。
ブランディングと売上につながる成果を目的に、 「5分で分かる東ソー」や「SDSダウンロード」など目的を叶える独自コンテンツを構築しました。
その他は、サイト制作実績ページで多数公開しておりますのでぜひご覧ください！
まとめ
戦略的なコーポレートサイトは、利益創出につながります！
コーポレートサイトでは、ターゲットごとに適切な情報を提供し、接点やアプローチ手段を戦略的に設定することで、ビジネス上の大きな効果を生み出すことが可能です。
SEO対策や検索広告、SNSなどのWebマーケティング施策を組み合わせることで、更に集客や認知拡大が期待できますし、多言語化対応を行うことで、グローバル市場での販路拡大にも繋がります。
当社では、コーポレートサイト制作サービスのほか、
専門家によるヒューリスティック分析やサイト診断など、戦略的で効果的なサイトを目指すための包括支援が可能です。
新規構築やリニューアルなどを検討されている企業のご担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。
コーポレートサイトに関するよくあるご質問
- Q
コーポレートサイトとホームページの違いは何ですか？
Aコーポレートサイトとホームページの違いは、「ホームページ」がWebサイト全体を指す一般的な呼称であるのに対し、「コーポレートサイト」は、Webサイトの中の特定の種類であり、企業の公式情報を発信することを目的とした、役割の明確なWebサイトである点です。
- Q
サービスサイトとコーポレートサイトの違いは何ですか？
Aサービスサイトは、特定の製品やサービスを紹介・販売するためのWebサイトで、顧客や利用者を主なターゲットとしています。一方、コーポレートサイトは企業の全体像を伝える場であり、ステークホルダーに向けて企業の公式情報を発信するWebサイトです。サービスサイトとコーポレートサイトは、目的や対象とする相手において明確な違いがあります。
- Q
コーポレートサイトを作るメリットは何ですか？
Aコーポレートサイトは、企業の「信頼」と「存在価値」を社会に示すために欠かせない存在です。
どのような事業を行い、どんな理念を持っているのかを広く発信することで、ブランドイメージを築き、企業への理解や共感を育むことができます。また、投資家や顧客、取引先など、関係者との接点として機能し、円滑なコミュニケーションの基盤となることで、企業価値の向上にもつながる点が大きなメリットです。
この記事の著者
マイクロウェーブクリエイティブ プロデュースグループ
クライアントのビジネス課題を解決するための提案経験を活かし、サイト制作に関する多岐にわたる情報を提供します。
