自社サイト翻訳の3つの方法と活用事例【インバウンド対応に必須】

2025年10月31日

自社サイト翻訳の方法と活用事例

海外事業展開やインバウンド対策の重要性が高まる中、企業サイトの翻訳・多言語化は、今や多くの企業にとって避けて通れない課題となっています。
とはいえ、「どの翻訳方法が自社に合っているのか」「コストと翻訳精度のバランスはどう取るべきか」など、悩まれるご担当者の方も多いのではないでしょうか。

本コラムでは、鉄道・インフラ・公共機関など、さまざまな業界の大手企業サイトの構築を支援してきたWeb制作チームが、その経験をもとに、自社サイトを翻訳・多言語化するための主な方法とそれぞれの違い、手法選びのポイントをわかりやすく解説します。

企業サイトの多言語化がすすむ背景

コロナ禍を経てインバウンド需要が再び高まりを見せる日本では、訪日外国人の増加にあわせ、観光業界や交通機関、公共サービスにおいて多言語での情報提供がこれまで以上に重視されるようになっています。
また、日本企業の海外展開が進むにつれ、外国人顧客に向けた製品・サービス情報の提供ニーズが拡大し、業界によっては、安全性や法的要件への対応として複数言語での情報発信が求められる場合もでてきました。

こうした背景から、多言語対応はビジネスを広げるチャンスであるとともに、社会的な責任としても重要な取り組みになりつつあり、今では、業種や企業の規模を問わず、多くの企業が多言語対応に乗り出しています。

Webサイト翻訳の代表的な3つの手法

では、企業サイトを翻訳・多言語化するには、実際にどのような方法があるのでしょうか。
代表的な3つの手法と、その特徴や注意点をご紹介します。

Webサイト翻訳の手法

① 人力翻訳(プロの翻訳者・翻訳会社に依頼)

特徴:自然な表現での翻訳が可能。専門用語や業界知識を考慮した高品質な翻訳が得られます。
注意点:費用が高く、納期も比較的長め。更新頻度が高いページでは運用コストに注意が必要です。

② 自動翻訳ツールの活用(WOVN、MYサイト翻訳、shutto翻訳 など)

特徴:タグ埋め込みなどの簡易実装で、スピーディかつコストパフォーマンス良く多言語化が可能。
注意点:PV数などで価格が変動。ツールごとの翻訳精度差や、ニュアンスの違いには注意が必要です。

関連コラム:Webサイト多言語化・翻訳ツールを比較!特徴・費用・選び方を解説【比較表付き】

③人力翻訳+自動翻訳ツール(ハイブリッド型)

特徴:重要ページは人力翻訳、それ以外は自動翻訳を活用することで、コストと品質を両立できます。
注意点:ページごとの翻訳方針を明確に決めておかないと、運用が複雑化する可能性があります。

各翻訳手法の精度と費用

多言語対応では、品質を優先するか、コストを抑えるかという判断が企業にとって悩ましい課題となります。
ここでは、その検討材料となるよう、主要な翻訳手法の特徴をご紹介します。

Webサイト翻訳の特徴

① 人力翻訳(精度◎/費用:高)

プロの翻訳者が文脈や業界用語を加味して訳すため、最も高い精度が期待できます。 ただしページ数が多い場合は費用が大幅に膨らむため、重要性の高いページに絞って導入するのが現実的です。

② 自動翻訳ツール(精度△/費用:低~高)

選ぶツールやプラン、翻訳対象の範囲によって、月額費用は数千円から数十万円までと大きく異なります。
精度面では、近年AIによる自動翻訳機能を備えたツールも増え、翻訳品質も向上していますが、専門性の高いコンテンツや重要なページでは、人の目で確認・修正を行う「部分人力運用」を取り入れるケースもあります。
※精度は使用するツールにより差があるため、ここでは「△」としています。

③ハイブリッド翻訳(機械翻訳+人力チェック)(精度◎/費用:中)

機械翻訳と人力翻訳の品質を組み合わせたハイブリッド型です。 誤訳を抑えつつ、費用や運用負荷も抑えたい企業におすすめです。

近年では、多くの企業が②の自動翻訳ツールを導入したり、③の「機械翻訳+人力チェック」を組み合わせたハイブリッド型を採用したりするケースが増えています。ネイティブチェックや重要ページのみを対象にした修正オプションなど、実用性を高めたサービスも登場しています。

自社に最適な翻訳手法の選び方とは?

多言語対応に最適な手法は、Webサイトの種類によって異なります。
以下では、サイトタイプに応じてよく採用される翻訳手法と、そのポイントを整理しました。

サイトタイプ別の翻訳手法

コーポレートサイト(特にIR情報を含む場合)

上場企業では、IR情報の英文開示義務や海外投資家対応の必要性が高まっており、情報の正確性と信頼性が強く求められます。

翻訳手法:自動翻訳で多言語化に対応しつつ、IR関連など重要ページのみ人力校正を行う「ハイブリッド型」を取り入れるケースもあります。
ポイント:情報の正確性・信頼性が特に求められるため、チェック体制の整備が重要です。

BtoB企業のサービス・技術サイト

製品情報や技術文書など専門性の高いコンテンツを多く扱っており、その正確な翻訳が求められます。

翻訳手法:自動翻訳をベースに、重要ページは人力対応を併用ケースもあります。
ポイント:誤訳による信頼低下を防ぐため、翻訳結果のレビュー体制が必要です。

観光・インバウンド関連サイト(自治体・交通機関など)

訪日外国人の増加にともない、英語・中国語・韓国語など主要言語での情報提供が不可欠になっています。

翻訳手法:多言語展開は自動翻訳で広くカバーし、案内ページやFAQなどの一部は人力翻訳を実施するケースもあります。
ポイント:限られた予算で最大限の多言語対応をするため、重要ページの取捨選択がカギです。

ECサイト

海外ユーザーに対して快適な商品購入体験を提供することが求められ、正確で信頼性のある情報発信が必要です。

翻訳手法:商品説明やキャンペーン情報など更新頻度が高い部分は自動翻訳、規約やカスタマーサポートは人力翻訳を選ぶケースも多く見られます。
ポイント:信頼感や正確な表現が購入意思に直結するため、重要ページの品質管理が不可欠です。

翻訳の最適な方法はサイトごとに異なり、目的やコンテンツの性質によって選び方が変わります。精度とコストの両立を目指すには、専門家の意見を取り入れることをおすすめします。

翻訳方法を選ぶうえでチェックすべき6つのポイント

翻訳方法には、これまで紹介した3つの手法を中心に、複数の選択肢があります。
以下の6つの観点を参考にすると、自社に合った方法を判断しやすくなります。

①対象ターゲット・サイトの目的・役割

まず「どのサイトを」「どの情報を」「どの国の誰に向けて」翻訳するのかを明確にしましょう。

また、製品・サービス紹介、購入導線、IR強化、問い合わせ獲得など、目的によって必要な精度や対応言語は変わるため、あらかじめ整理しておくことが大切です。

②更新頻度と運用体制

更新が頻繁なサイトでは、翻訳作業の効率化を目的に機械翻訳ツールを導入するケースがあります。
そのため、自社の更新サイクルや運用体制をあらかじめ確認しておきましょう。

③ 翻訳レベルの確認

翻訳で求められる精度は一律ではなく、「トラブルを避けるために高精度が必須な場合」もあれば、「最低限の情報伝達で十分な場合」もあります。必要とする精度については、法務部門など社内の関係部署と事前にすり合わせておくことが重要です。

④ 社内でのチェック体制

自動翻訳の誤訳やニュアンスを補正できる体制があるかどうかを確認しましょう。校正リソースが確保できない場合は、人的翻訳や外部サポートの導入を検討すると安心です。

⑤ コンテンツの重要度

ブランドメッセージや会社概要などの重要なページは人的翻訳、補助的なページや更新頻度の高い情報は機械翻訳、といった使い分けが有効です。ページごとに重要度を整理しておきましょう。

⑥ CMSの種類と更新体制

導入しているCMSの仕様やWebサイトの更新体制によって、自動翻訳ツールが使える範囲や人的翻訳の必要性は大きく変わります。CMSの仕組みを理解したうえで、翻訳方法を選択することが重要です。

サイトタイプ別に見る翻訳対応の工夫

これまで3つの手法や選び方を紹介してきましたが、実際には「自社に近いサイトタイプの工夫」を知りたいと感じる方も多いと思います。以下に、タイプ別に見られる翻訳対応の特徴を整理しましたので、参考にしていただければと思います。

公共交通機関サイトの工夫事例

訪日外国人の利用を前提とした翻訳・情報設計が特徴です。

  • 訪日外国人に向けた情報設計
    乗り換え案内・運賃情報・観光スポットなど、日本を訪れる旅行者が直感的に理解しやすい構成。
  • 文化的な違いへの配慮
    「チケット購入方法」「乗車マナー」など、日本特有の利用ルールをわかりやすく翻訳・説明。
  • 幅広い言語への対応
    英語に加え、中国語(簡体/繁体)、韓国語など、主要なインバウンド層を幅広くカバー。

BtoB企業サイトの事例

国外の専門性の高いターゲット層を意識した翻訳が求められます。

  • 専門性の担保
    製品仕様や技術用語を正確に翻訳し、必要に応じて人的翻訳や専門家レビューを導入。
  • 国際標準の情報設計
    「Products」「Sustainability」など、海外企業や投資家が重視する情報を整理。
  • グローバル市場を意識した多言語展開
    英語を中心に、中国語やヨーロッパ言語など、ニーズに応じて翻訳言語を拡充。

BtoC企業サイトの事例

利用者のわかりやすさや更新性を重視した翻訳運用が行われています。

  • わかりやすさと直感性の重視
    商品説明や利用方法を、シンプルな表現に翻訳。自動翻訳+最小限のチェックで効率的に展開。
  • 重要ページの品質確
    購入ページや利用手順など、誤訳が許されない重要なコンテンツは人的翻訳や厳密なチェックを実施。
  • セールやキャンペーンへの対応
    セール情報やキャンペーン、新商品の追加に合わせて、スムーズに翻訳・反映できる体制を整える。

当社の多言語・翻訳対応実績

当社マイクロウェーブクリエイティブは、Webサイト制作に加えて、さまざまな業界でWebサイトの翻訳や多言語化ツールの導入を支援してきました。
海外展開を行う上場企業や、日本を代表する公共施設・公共交通機関など、大規模で信頼性が求められるプロジェクトも多く手がけており、各社の目的やサイト特性に合わせ、最適な翻訳手法をご提案しています。

担当実績の一部をご紹介します

Webサイト翻訳事例
  • 日本電子株式会社様:グローバル展開に向けたポレートサイトの多言語化支援
  • 東急電鉄株式会社様:訪日外国人向けサービスサイトにおける観光・交通情報の翻訳・ローカライズ
  • 京王電鉄株式会社様:鉄道利用者向けWebサイトの多言語化支援(乗車案内・チケット情報など)

まとめ

自社サイトの翻訳・多言語化では、翻訳精度だけでなく、運用のしやすさやコストとのバランスも重要な判断ポイントとなります。
さらに、コンテンツ・情報設計・CMS構築・デザインといった要素も切り離せません。
翻訳だけでなく、技術・デザイン・運用のすべてを兼ね備えた制作会社に依頼することが、何よりも重要です。

当社では、これらをすべて自社で対応しており、その品質は多くのお客様から高い評価をいただいています。

「最適な翻訳方法が分からない」「自社に合った手法を知りたい」「同業界の導入事例を参考にしたい」
などのご質問やご要望がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

貴社の状況や目的に応じて、最適な多言語化戦略をご提案いたします。

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