WebサイトへのCMS導入やリプレイスを検討する際、選択肢が多すぎて
「自社に合ったCMSがどのタイプなのか分からない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
法人サイトでは、選定や調査の段階から制作会社などのベンダーに依頼するケースが一般的ですが、
自社でも、「企業への導入数の高いCMSを把握しておきたい」というご要望も多く寄せられています。
本記事では、上場企業でのCMS導入シェア上位ランキングに加え、
法人向けにおすすめのCMSの種類や特徴について、当社エンジニアが詳しく解説します。
CMSの導入やリプレイスを検討されている企業のご担当者様、CMSについて学んでいる方にお役立ていただければ幸いです。
目次
CMSを取り巻く状況
進化し、増え続けるCMS
企業サイトの運用において欠かせない存在となっているCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)
現在は国内外のベンダーから数多くのCMSが提供されており、それぞれに特徴や強みがあるため、
「種類が多すぎて何を選べばいいのか分からない」といったご相談を多くいただいています。
CMSの導入やリプレイスにあたっては、まず自社の事業計画や各部門のニーズ、MAツールや基幹システムなどの外部ツールの状況を整理し、全体像を捉えたうえで導入戦略を立てる必要があります。そうした事前の調査や設計が、CMSの運用においての成功要因となりますが、それだけに選定には慎重さが求められます。
CMS導入を支援する制作会社の立場としても、各CMSの特性だけでなく、設計・テンプレート・モジュール開発に関する広く深い知見が求められます。
適切なパートナー選びも、プロジェクト成功の重要な要素といえるでしょう。
CMSの種類
CMSのタイプは、提供形態により、「1.インストール型」「2.クラウド型」「3.ヘッドレス型」の3つに大別することができます。
1. インストール型
CMSパッケージをサーバーにインストールすることで利用するタイプです。(オンプレミス型とも呼ばれます)
CMSをインストールするためのサーバーは別途構築が必要となりますが、サーバーを構築することで、CMSパッケージ以外のプログラムを動かすことによる制約がないため、サイト構築の自由度が非常に高いです。ただし、サーバーを構築するためのイニシャル費用や、継続的な維持管理をするための費用がかかるため全体的なコストは高くなる傾向があります。
2. クラウド型
開発元によってCMSパッケージとサーバーが1つになったサービスとして提供されるものです。CMSをインストールするためのサーバーを別途用意する必要がなく、サービスの申し込みをすることで迅速な利用開始ができ、サーバー構築のためのイニシャルコストや、継続的なサーバー維持管理コストを節約することができます。
プラグインのインストールや部分的なカスタマイズが可能なサービスもありますが、基本的にはサーバーへの直接アクセスやCMS以外のプログラムの利用が非推奨、または不可となる制限事項が伴うことが多いです。
3. ヘッドレス型
従来のCMSで提供されるビューワ機能(テンプレート機能)の代わりに、CMSで管理されるデータをAPIで連携し、HTML, CSS, JavaScriptなどでサイトを構築する手法です。
ビューワ機能におけるCMS独自の規約・プログラム言語に縛られることなくサイトの構築が可能であり、CMS機能とサイト構築を完全に分けることで、サイトのリニューアル時にもCMS側の調整を最低限に抑えられるため長期的な利用が期待できます。
また、サイト構築においてCMS以外のAPIとの連携を行うことも既存のCMSより柔軟にできるため、昨今のSaaS型のAPI提供サービスやマーケティング分野におけるSFA、CRM、MAとの連携も検討しやすいサイトの構築が可能です。
ただし、従来のサイトに比べて構築手法が変わった分、サイト構築におけるJavaScriptフレームワークに関する知見が必要なケースが多いため、デザインやレイアウトの変更などは専門知識を有するエンジニアまたは制作会社にて行う必要があります。
※ヘッドレスCMSにもオンプレミス型・クラウド型が存在します。
Webサイトビルダーの急成長
昨今、急速に市場規模を拡大しているWebサイトビルダーは、データの登録と描画を個別で分けず、より直感的にページを作成することを可能にしたツールです。
PowerPointでスライドを作成するような感覚で、予め用意されているパーツや独自で作成したパーツを用いてページを組み立てる”手軽さ”が主な特徴になります。
基本的にクラウド型で提供されるサービスですので、導入の壁も低く、独自ドメインの設定が可能なプランも大多数のサービスに用意されていることから、企業ぺージに利用されることも増えています。
ただし、独自の利用方法をある程度は学習する必要があり、間違った使い方をするとサイト全体のスタイルを維持することが難しくなります。また、サイトの規模(ページ数)が大きいと各ページの管理が煩雑になる可能性があるので、CMS機能やヘッドレスCMSとの併用が望ましいケースもあります。

企業サイトの種類とCMSの適性
企業CMSの選定は、サイトの種別や目的によっても異なります。大まかには以下のような傾向があります。実際には細かな要件と照らし合わせて決定する必要がありますが、目安としてご覧いただけるよう、企業サイトの種別を大きく4つに分けて、それぞれ選択されることの多いCMSを図で分類しました。
1.コーポレートサイト/ブランドサイト
IR情報発信の機能を搭載していたり、多数のページを管理することのできる堅牢で拡張性の高いCMSが選ばれます。
2.プロモーションやLP
スムーズな運用が求められるため、Webサイトビルダー系のツールが多く使われます。
3.ECサイト
販売や集客に必要な機能を持つEC特化型のCMSが適しています。
4.オウンドメディア
コンテンツ制作への自由度が求められ、ヘッドレスCMSのような柔軟な設計が可能なCMSが選ばれています。

※実際には、自社の要件や今後の展望を加味して検討する必要があり、この図の限りではありません。
一例としてご覧ください。
企業向けおすすめCMSの紹介
当社ではベンダーフリーの立場から、企業の目的・要件・運用体制・将来的な展望に応じて、最適なCMSをご提案しています。ここでは、導入実績が多く、幅広い規模感の企業サイトにおすすめできるCMSの一部とその特徴をご紹介します。
Movable Type(ムーバブルタイプ)
高度なカスタマイズ性と安定性が評価され、国内導入実績は5万サイト以上。企業のコーポレートサイトはもちろん、自治体・公官庁など公共機関での採用実績も豊富です。
PowerCMS(パワーシーエムエス)
Movable Typeをベースに開発された国産CMSです。高い拡張性と柔軟なカスタマイズ性を持ち、企業の多様な要件に対応できる点が評価されています。セキュリティや運用面でも安心して利用できるCMSです。
ShareWith(シェアウィズ)
適時開示の自動連携など、上場企業のWeb運用に求められる機能が充実。IRサイトやコーポレートサイトを中心に、多くの導入実績を持つCMSです。
WordPress(ワードプレス)
世界中で最も利用されているCMSです。豊富なプラグインやテーマによって柔軟なサイト構築が可能で、企業規模を問わず導入しやすい選択肢となっています。
ただし、シェア率の高さからサイバー攻撃の対象となりやすいため、運用時には適切なセキュリティ対策が欠かせません。
microCMS(マイクロシーエムエス)
注目を集める国産のヘッドレスCMSで、誰でも簡単にコンテンツ更新ができる使いやすさが特長です。サービスサイトやブランドサイト、オウンドメディアなどに適しています。
Studio(スタジオ)
デザイン性とスピード感を兼ね備えた国産のノーコードプラットフォームです。LPやキャンペーンページ、スタートアップや小規模なコーポレートサイトなどに適したCMSとして企業サイトへの導入も増えています。
上場企業CMSシェアランキング【2025年最新データ】
企業向けCMSの参考情報として、株式会社DataSignが発表した「上場企業CMS調査レポート」の(2024年8月度最新版)データもTOP8までご紹介します。
この調査は、上場企業で導入されている最新版CMSのランキングで、日本取引所グループに上場している企業3,842社(Pro Marketを除く)の公式Webサイトや関連ページ13,739URLを対象に実施されたものです。
ランキング順位 | CMS名 | 導入数 |
---|---|---|
1位 | WordPress | 4,930件 |
2位 | ShareWith | 196件 |
3位 | Drupal | 129件 |
4位 | Movable Type | 102件 |
5位 | Blue Monkey | 101件 |
6位 | microCMS | 95件 |
7位 | HeartCore | 83件 |
8位 | Adobe Experience Manager | 78件 |
導入数では1位の「WordPress」が突出していますが、ShareWith、Movable Type、microCMSなどの導入も多く見られ、上場企業におけるCMS選定には、さまざまなニーズが存在することが明らかです。
CMSは運用体制やセキュリティ要件、今後の展開に応じて適切に選ぶ必要があります。
導入事例や市場でのシェアも参考にしながら、企業のWeb戦略に合った選定をおすすめします。
企業サイトのCMS導入時にかかる費用
CMSを導入する際の費用は、ツールの購入費用だけでなく、継続的なサポートを受けるためのランニングコストも視野に入れて全体を把握する必要があります。
費用の妥当性は、単に予算内で収まるかどうかだけではなく、技術的なサポート体制や機能の充実度、自社の運用体制との相性も含めて検討すべきです。
安価なCMSでも要件に合わなければ成果を出せませんし、逆に高価なツールを導入しても十分に活用できなければ意味がありません。
企業におけるサイト構築では予算が非常に重要な基準となるため、コスト面でのCMS選定の判断を誤らないように注意が必要です。
企業サイトにCMSを導入する際の注意点
企業サイトにCMSを導入するにあたっては、まず構築するWebサイトの目的を明確にすることが重要です。情報発信を主な目的とするサイトなのか、あるいは他機能を備えたWebアプリケーションとしての活用を想定しているのかによって、選定すべきCMSの種類や要件は大きく異なります。
たとえば、情報発信を中心としたサイトであれば、投稿・編集・公開といった基本機能があれば運用可能です。しかし、CMSによって投稿形式や公開フローに違いがあるため、どのような運用スタイルに対応しているかを見極めることが重要です。
一方、EC機能や外部システムとの連携が求められるサイトの場合、単にコンテンツを管理するだけでなく、
拡張性やカスタマイズ性にも優れたCMSを選定する必要があります。情報発信に特化したCMSでは対応が難しいケースも少なくありません。
また、導入時点での要件だけでなく、将来的なサイトの拡張性を見据えてCMSを選ぶことも大切です。初期段階では情報発信中心でも、今後ページ数の増加や機能拡張を予定している企業も多く見受けられます。
そのため、CMS導入にあたっては、
- 期待する効果は何か
- 優先して解決したい課題は何か
- 今後の事業計画や運用の方向性はどうか
といった観点から、中長期的な視点で検討することが、失敗しないCMS導入のポイントです。
企業サイトの成長には、最適なCMSの選定が不可欠です
企業サイトへのCMS導入は、選択肢の多様化やマーケティング基盤としての活用が進む中で、検討すべき要素が増え、以前にも増して複雑な判断が求められるようになっています。そのため、自社にとって
最適なCMSを選び、正しく導入・運用することが、企業サイトの成長に直結します。
当社では、上場企業の大規模かつ高機能なサイト構築から、中小規模サイトまで幅広い実績があり、
ご予算や規模を問わず柔軟に対応可能です。
CMSの選定や導入はもちろんCMSベンダーや現状システム調査、要件定義、RFP(提案依頼書)の作成支援など、
初期段階からのご支援も承っています。
「失敗しないCMS導入」を実現するために、まずはお気軽にご相談ください。
CMSに精通したエキスパートが、丁寧にご対応いたします!
お役立ち資料
【企業向け】導入・リニューアル時に役立つCMS選び方ガイド
(※同業他社および個人の方からの資料請求は、お断りしております。)
企業へのCMS導入実績
株式会社ツムラ、西武鉄道株式会社、東急電鉄株式会社、株式会社クレハ、株式会社朝日ネットなど
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この記事の著者

マイクロウェーブクリエイティブ バックエンドグループ
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